理事長所信

2026年度理事長所信

一般社団法人丹羽青年会議所

 

第32代理事長

大島 康平

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

はじめに

青年会議所活動を端的に表した言葉に、3つの信条があります。
個人の修練としての「トレーニング」、自らが暮らす地域や社会への奉仕としての「サービス」、そして最後に、国境や人種、文化を越えた友情を意味する「フレンドシップ」。

この3信条は、自己の成長を起点としながらも、社会への貢献と世界との対等な関係性の構築を目指す、青年会議所の根幹を成す考え方として1951年の日本青年会議所の設立以来、大切に受け継がれてきました。そしてこの理念に共鳴し、その運動を丹羽の地にも根付かせたいという想いをもった諸先輩方の尽力によって、今から32年前の平成4624日、全国で765番目となる丹羽青年会議所が誕生しました。

創立から今日に至るまでの間に、丹羽の地は大きく様変わりしています。住宅地の拡大、道路網の整備、さらには企業誘致など、まちは確かにとしての豊かさを増してきました。また、社会全体としても、従来の上司と部下といった明確な縦の関係性から、横のつながりを重視し、個性や多様な価値観を尊重する文化へと移行してきたことも事実です。

しかしながら、その一方で見えてきたのは、いわば「多様性の光と影」とも言えるような現象です。本来、人と人の違いを受け入れ合うはずの多様性が、時に関与しない理由となってしまっている現実があります。相手の個性に土足で踏み込まないことが配慮とされる一方で、それが「無関心」や「孤立」を助長してしまうこともあり、互いに補い合い、支え合うはずの社会が、どこか希薄な関係性の中に埋もれつつあるのではないでしょうか。確かに、価値観の多様化は現代社会において避けて通れないものであり、むしろ豊かさの象徴ともいえます。けれども、ただそれを容認し合うだけでは、社会的な絆の再構築にはつながりません。互いの違いを知るにとどまらず、自分の中に足りない部分、相手に学ぶべき部分を認識し、それを関係性の中で補完していくことこそが、真の意味での「多様性」なのではないでしょうか。つまり、多様性は個を守る盾であるべきではなく、個と個を結び直す懸け橋であるべきなのです。そうした発想に立脚し、これからの地域社会が目指すべきは、異なる価値観や立場を尊重しながらも、それをつなぎ合わせ、共に未来を創っていく必要があると私たちは考えます。

 

~持続する組織~

どんな集団にも、人が集まればとなり、やがて組織へと成長し、変化していきます。青年会議所もまた、その一つの形です。しかし、青年会議所の特性上、メンバーも役職は1年限りで、翌年にはまた新たな役割を担い、常に流動的な人のめぐりの中で組織が運営されていきます。

この一年ごとの役職交代という独自のサイクルは、一見不安定にも映るかもしれません。しかしここまで丹羽青年会議所が存続してきたのは、豊かな社会の実現という目標があり、その目標に向かってその年に与えられた責務に真正面から向き合い、全うすることが求められ、そしてその想いと成果を、確かな「バトン」として、次の年へと繋げていくことが私たちの使命です。

しかしながら、今の丹羽青年会議所は在籍年数が浅いメンバーが多く、組織運営の方法や与えられた役目を十分に果たし切れていないという現実があります。こうした状況だからこそ、改めて一人ひとりが「やるべきことをしっかりやる」という意識を持つことが求められます。ここでいう「やるべきこと」とは、組織の基盤となる事務処理や、外部との連絡・調整事項などを、遅滞なく正確に遂行することです。これらを確実に積み重ねることこそが、組織への信頼を築き、活動の質を高めていく土台となります。

もちろん、青年会議所の活動は一人で完結するものではありません。どんなに意志が強くとも、何かを成し遂げるには、仲間の力が不可欠です。そのためにも、私たちはメンバー一人ひとりの個性や強みを尊重し、互いの違いを活かし合う関係性を築くことが大切です。互いに助け合い、足りない部分を補い合いながら、困難を乗り越え、より大きな力へと変わっていくのです。

そして私たちが目指すのは、「言われてから動く組織」ではなく、「自ら気づき、自ら手を差し伸べることができる組織」です。誰かが困っているときに傍観するのではなく、小さな異変や行き詰まりに気づき、自発的に声をかけ、行動を起こせる集団でありたい。そうした能動的な行動の積み重ねこそが、青年会議所としての本質であり、地域をより良く変えていく原動力になると信じています

 

~まちとつながる力~

丹羽郡という地域を見ると、三大都市・名古屋から程よい距離にあり、自然と利便性のバランスが取れた暮らしやすい地域として、扶桑町・大口町ともに人口は緩やかな増加傾向を見せています。しかしその一方で、全国的に進行する少子高齢化という大きな時代の流れは、この地域にも確実に影響を及ぼし始めています。働き手の減少、子どもの数の減少、地域活動の担い手不足といった問題は、決して遠い未来の話ではなく、すでに目の前の課題として立ち現れています。地域の未来を考える上で、次世代をどう育て、どのような暮らしを築いていくのかが、改めて問われているのです。

こうした変化に対して、私たちは単に危機感を抱くだけでなく、「今、私たちがどう関わるか」が、これからの地域を形づくると信じています。価値観やライフスタイルが多様化する現代において、地域に必要なのは、異なる立場や世代をつなぐきっかけであり、人と人とが自然に関わり合うです。互いの違いをただ受け入れるだけでなく、そこに新たな意味を見出し、共に歩む力へと変えていく姿勢が求められています。

私たち丹羽青年会議所は、そうした「新しいつながり」の可能性を信じています。行政や住民と手を取り合いながら、地域が本来持っている力を引き出し、未来へとつなげていくための取り組みに力を入れています。特に、人と人とが交わる場を生み出すことで、世代や立場を超えた信頼や絆が育まれていくことを目指し、これまでにない視点で地域課題と向き合っています。

一人では見えなかった景色も、誰かと関わることで広がっていく。そんな積み重ねの中からこそ、丹羽郡という地域の持続可能な未来が育まれていくと私は信じています。

 

 

~新しい仲間と共に~

例えば、目の前に大きな岩があるとします。その岩をどう動かすか。その方法は人によって異なり、押す人もいれば、テコを使う人、誰かに助けを求める人もいるでしょう。そのどれもが間違いではなく、多様な視点があるからこそ、新しい解決の道が見えてくるのです。青年会議所の活動もまた同じで、既存のメンバーだけで考えていると、どうしても視野が固定され、発想が一方向に偏りがちになります。

地域の課題に立ち向かい、より良い社会の実現を目指していく中で、何を、どこから、どのように取り組むか。その選択は一つではなく、柔軟な発想と行動力が求められます。そこで重要になるのが、会員拡大活動への取り組みです。新しい仲間を迎えるという行動は、組織に新しい風を吹き込むだけでなく、これからの活動に厚みと広がりを与えてくれます。

本年度は改めて拡大リストの更新を進めて参ります。これは、対象となる候補者の情報を最新のものに見直し、より効果的なアプローチを実現するためです。同時に、特定の地域に偏ることなく、丹羽郡全体に目を向けた拡大を心がけていきます。町単位でのバランスある構成は、地域の声を広く拾い上げ、事業の方向性にも良い影響を与えると考えています。

とはいえ、拡大活動は決して簡単なものではありません。時には断られることもあり、自信を失いかける場面もあるかもしれません。だからこそ、一人で抱え込むのではなく、周囲と力を合わせながら進めていくことが必要です。経験豊富な会員の助言や、入会間もない会員の行動力が交わることで、新たなアプローチが見つかることもあります。

大切なのは、共に目指すゴールを見失わないこと。拡大活動は数字だけを追いかけるものではなく、「誰とこの地域をよくしていきたいか」「どんな仲間と成長していきたいか」という思いの共有こそが、その根幹にあるはずです。

私たちは、一人では成し得ないことも、誰かと手を取り合うことで形にできると信じています。そしてその連なりの中でこそ、本当に意味のある拡大が生まれてくるのだと思います。これからも力を合わせながら、地域と未来に向き合っていきたいと考えています。

 

終わりに

私が知る青年会議所は、役職を担うメンバー一人ひとりが、与えられた責務に真摯に向き合い、1年間その役割をしっかりと全うする組織でした。そして、その中で得た成果や反省点を丁寧に振り返り、次年度の活動に向けて確実に引き継いでいく文化が根付いていました。例会や事業も、多くの会員による多様な視点が取り入れられており、偏りのない構成で運営され、常に公平性と質の高い活動が実現されていたと記憶しています。

しかし近年の丹羽青年会議所では、会員数の変化や世代交代の進行により、これまで大切にされてきた知識や姿勢の継承がやや難しくなり、組織としての一体感や活動の本質が少しずつ薄れてきているように感じます。昨年度から会員数は徐々に増加しているように見えるものの、青年会議所の理念や活動の目的に対する理解が不十分なまま参加しているメンバーもおり、組織全体としての推進力や結束力がやや弱まっているのが現状です。

同じ年会費を払い、限られた時間を使って活動するのであれば、ただ形式的に関わるのではなく、青年会議所の活動を通して一つでも多くの学びや気づきを得て、自分自身の成長へとつなげていくことが、本来のあるべき姿ではないでしょうか。そしてその経験が、自身が務める会社や地域社会をより良くするための力となり、リーダーシップを発揮する礎となることを私は強く願っています。

だからこそ今、私たちが改めて取り組むべきは、曖昧になりがちな役職の役割や立ち位置を明確にし、それぞれのメンバーが「自分に何が求められているのか」「この組織で何を果たすべきなのか」を真剣に考え直すことだと思います。一人ひとりが意識を高く持ち、自分の行動に責任を持って取り組むこと。それこそが組織としての基盤を強化し、未来の丹羽青年会議所を力強く支えていく原動力になると、私は信じています。